「おにいちゃんが最近冷たい」
「気のせいだろう」
はじとりと睨みつけながら低く唸る。
「ほら!そういうところが!昔はもっと…」
「もっとなんだよ?10年前からそこまで扱いを変えた覚えはないが」
よくよく思い返してみると、そうかもしれない。もちろん時計塔では先生と生徒をやっている訳だが……二人になった時は昔と変わらず適当にあしらわれている、かもしれない。
「あ、あれ?むかしからだいじにされてない……?いやでもおにいちゃんは頭撫でてくれたし……」
言うやいなや、頭にぽんぽんと軽い感触があった。
「これで満足か?」
「な訳ないでしょう!いやちがうな嬉しいですけど!」
「なんでそう勘違いしたか知らないが、あるとすればが遠慮なかったから相手するしかなくてそう感じたんじゃないのか?」
重苦しい溜息とともに言葉が吐き出される。
相手が変わってしまったと思い込んでいたが自分が変わっていたとは気がつかなかった。自分の変化や成長なんて実感しづらいものだし。
呆れて作業に戻るウェイバーの背を見つめ、思考を巡らす。こういう時、どうしてたっけ?
「な、何してるんだ!?」
「遠慮しないことにしたんですーさわがないでくださーい」
ぴたりと背中に張り付いて、肩越しに難しい書類を覗き込む。そうだ、小さいときはこんなふうになんの実験かよくわからないものを眺めていた気がする。
「やめろ」
「どうして?」
「いろいろ問題あるだろう」
「そうかしら?あ、もしかしててれてる?」
少し笑った途端、猶予もなく引きはがされてしまった。やはりどう考えても自分だけが変わってしまったのではないような気がする。
「やっぱにいちゃんいじわるになったよ!」
意識してみる?されてみる!